この記事では、ポルトガルのワイン「ポート」「マディラ」についてご紹介します。
日本では「ポートワイン」は、昔から有名ですね?サントリーが日本人に合うように「赤玉ポートワイン」を出して、一世を風靡しました。「マディラ」は知らない人が多いと思いますが、どちらも「酒精強化ワイン」です。マデイラは、不滅に近いほど長寿で、数百年前のマデイラが現在も数多く残っており、それらは今でも美味しく飲むことができます。
酒精強化ワインとは、英語で(フォーティファイド・ワインfortified wine)と言います。醸造工程中にアルコールを添加して、ワイン全体のアルコール分を高め、味にコクを持たせ保存性を高めたワインのことです。
酒精強化といってもアルコール度数が比較的低いものも多く、味わいも辛口から甘口まで様々です。産地や製法によって個性も様々です。食前酒、食後酒のイメージが強いかも知れませんが、実は、酒精強化ワインは、料理との相性も優れているのです。
以下のシリーズで世界の酒精強化ワイン(フォーティファイド・ワイン)の魅力についてご紹介いたします。
●第3回ポルトガル「 ポート 、マデイラ」
酒精強化ワインについての解説
酒精強化ワイン(フォティファイド・ワイン)とは?
「酒精強化ワイン」は、醸造工程においてアルコールが添加されるタイミングは様々で、ぶどう果汁に入れる場合や、発酵中、発酵後に添加する場合もあります。添加されるアルコールの種類は、ブランデーやぶどうを原料としたアルコール度数を高めたものなどが一般的です。アルコール度数が15%〜22%になることが多いです。
歴史的に酒精強化ワインは、イベリア半島など、特に夏に気温が高くなる地域の生産者たちが、ワインの酸化や腐敗防止の目的などでつくりはじめられました。
ワインの保存性を高める以外にも、ワイン全体のアルコール度数を高めたり、ワイン全体にコクを出す目的で酒精強化を行う生産者も出てきました。ワインは、製造過程でぶどうの中の「糖」が発酵によってアルコールに変わって完成しますが、発酵途中で強いアルコールを添加することで、糖をワインの中に残すことができます。
酒精強化ワインって、甘口のものが多いのでは?
辛口のモノも多くあります。
辛口か甘口かは蒸留酒を加えるタイミングで決まります。発酵の早い段階で添加すると、ブドウの糖分がアルコールに転換されずまだ大量に残っているため、仕上がりは甘口になります。一方、発酵しきった後に添加すると、糖分が残っていないので辛口になるのです。使用するブドウ品種や蒸留酒の種類、熟成の方法、期間によっても味わいは異なる。
フォーティファイド・ワインの種類
ヨ-ロッパの代表的なフォーティファイド・ワインには、以下のものがあります。
●スペイン: シェリー酒
●イタリア: マルマサ
●ポルトガル: マデイラ、ポ-ト
他にも、南フランスのVDN(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)やオーストラリアのラザグレンマスカットなどがあります。
どんな料理に合う?
辛口のフォーティファイド・ワインは、なんといっても食前酒に最適。オリーブや生ハムなど塩味の効いた前菜やおつまみとは最高の相性です。
また、甘口のフォーティファイド・ワインにはフォアグアやパテ、極甘口のものなどは、バニラアイスクリームのソースにすると絶品です。また、チョコレートやブルーチーズともよく合います。
酒精強化ワインって、アルコール度数が高いので食事に合うの?
酒精強化ワインが際立ってアルコール度数が高いというわけではありません。日本酒とほぼ同じ度数のものが多いので、食事にも合わせやすいのです。
ポルトガル【ポートワイン】について
ポートワインとは?
ポルトガルで14世紀のなかごろから造られ始めた北部のドウロ川周辺で生産される酒精強化ワインです。かつてポート港からイギリスに輸送されていため、この名前がつきました。
一般的にポートワインは発酵中のワインにアルコール度数77%のブランデーを加えて発酵を停止させるため、ブドウの糖分が残り、独特の甘さを備えたワインになります。また、アルコール度数も20度前後と通常のワインよりも高く、長期保存も可能です。
そのため、ポートワインには甘口ワインが多いというわけです。
ポートワイン造りに使われるブドウ品種
ポートワインは、アルト・ドウロ地区がポートワインの法定区域と政府によって定められており、この地区で栽培されたブドウを原料とした酒精強化ワインのみがポートワインの商標を認められます。
●トゥーリガ・ナショナル(Touriga Nacional)
●トゥーリガ・フランカ(Touriga Franca)
●ティンタ・バロッカ(Tinta Barroca)
●ティンタ・ロリス(Tinta Roriz)
●ティント・カン(Tinto Cão)
ポートワインの種類
ポートワインは、大きく分けて黒ブドウから造られる「ルビーポート」「トーニーポート」と白ブドウから造られる「ホワイトポート」の3つがあります。
赤色、褐色、白色の3種類となっており、味わいから特徴や醸造過程も異なってきます。
●ルビー
通常のワインと同じように短期間の樽熟成をして出荷されます。平均3年間の樽熟成後に瓶詰めされる若いタイプのポートワインです。ポートワインの中でも定番タイプのものとなり、多くの人に愛されています。
●トゥー二ー
ルビーよりも色が濃く、褐色のポートワインです。これは酸化熟成されたことによって色合いが変化してきているからです。味わいもルビータイプに比べるとまろやかで、柔らかい印象のワインです。熟成を重ねるほど、味わいはまろやかになっていきます。ラベルには、10年、20年といったように平均熟成年数が10年毎に記載されています。
●ホワイト
白ワインのポートワイン。食前、食中酒として酸味を楽しめるワインとなります。ルビーと同様、酸化には弱く、抜栓すれば10日前後で劣化が始まります。
ポルトガル【ポート】のおすすめ5選
サンデマン ルビー ポート 19度 750ml【辛口】 1400円
生産者であるサンデマン社は、シェリーやポートにおいて世界中で広く知られる有名メーカーで、ラベルに描かれたマントの男が特徴です。
輝きのある深い赤色で、プラムやベリーの香りがあります。
そのまま少し冷やして、またはロックでも楽しみいただけます。
フォンセカ オールド・トゥニー 10年19度 750ml【甘口】00円
フォンセカ社では毎年一定の量の力強いポートワインをカスクに移しセラーで熟成させます。ヴィンテージにより各々の個性、凝縮度、完熟度が異なるポートワインを熟練の技でブレンドする事により、毎年同じスタイルで同じ品質のポートが完成します。
オークと熟したドライフルーツ、プラムの風味。
シルクのような滑らかな口あたり。
タウニーポート10年 19.5% 750ml【甘口】 参考価格3900円
ルビーポートをタウニーカラー(黄褐色)になるまで熟成させたもの。
木樽にて最低10年以上熟成の原酒をブレンドし、ボトリング。(樽熟ポート)
まろやかな甘味が堪能できます。
テイラー レイト・ボトルド・ヴィンテージ 750ml 【甘口】参考価格3700円
3世紀以上の歴史を持つテイラーは、1692年の設立時から現在まで
創業者の一族によって受け継がれてきた唯一のポートハウス。
マッタリしたいときに♪レーズンやチョコレートとのマリアージュは最高!
グラハム ファイン・ホワイト・ポート 750ml ワイン【辛口】2700円
生産者のグラハム社は、1820年にスコットランド人のグラハム兄弟がポルトで設立したポートワインメーカーで、数多くの優れた畑を所有しています。
白ぶどう品種から生まれるホワイト・ポート。辛口でいきいきした活力ある風味が特徴です。
ポルトガル【マデイラ】について
マデイラとは?
マデイラ(Madeira)は、ポルトガルの首都リスボンから約850kmにある(モロッコ沖 約640km)大西洋上に浮かぶ「マデイラ島」で造られる酒精強化ワインです。マデイラの最大の特徴はブランデー添加により酒精強化した後にエストゥファと呼ばれる加熱処理を行うことです。この処理で独特の香ばしいフレーバーが生まれます。
日本からは遠いマデイラ島ですが、実は、あの世界最高峰のサッカー選手の一人、クリスティアーノ・ロナウドの出身地です。
マデイラ造りに使われるブドウ品種
マデイラは原料となるブドウ品種によって味わいが異なります。また、品種表示には当該品種を85%以上使用していなければなりません。
●ティンタ・ネグラ・モーレ(Tinta Negra Mole): 辛口から甘口まで幅広くブレンドに使われる
●セルシアル(Sercial): 華やかな香りのある辛口
●ヴェルデーリョ(Verdelho):中辛口タイプ
●ボアル(Boal):芳醇な中甘口タイプ
●マルヴァジア(Malvasia=Malmsey):濃縮感のある甘口タイプ
美味しく飲むヒント!
熟成期間が長い良質なマデイラなら開栓後1ヶ月程度は十分美味しく楽しめますから、慌てて飲み切る必要はありません。
マデイラワインの種類
マデイラワインは、3年以上の熟成が義務付けられていますが、熟成年数によってさらに規程があります。
●フラスケイラ / ガラフェイラ
単一品種、単一収穫年のヴィンテージマデイラのこと。最低20年以上の樽熟成、2年の瓶熟成が必要で、ラベルに表示される品種を100%使用していなければなりません。
●コリェイタ
単一収穫年のヴィンテージマデイラではあるものの、ブドウの品種規定はありません。収穫年の表示はありますがブドウ品種の表示はされておりません。また、樽熟成は5年以上必要ですが瓶熟成は不要。
●レゼルヴァ
熟成期間が15年のものをエクストラ・レゼルヴァ、10年はスペシャル・レゼルヴァまたはオールド・レゼルヴァ、5年はレゼルヴァ。長期熟成タイプの20年、30年などもあります。
ポルトガル【マデイラ】のおすすめ5選
ブランディーズ マデイラ・アルヴァダ 5年【甘口】 参考価格3000円
2011年になんと設立200周年を迎えた超老舗★ブランディーズの革新的なマデイラ!! 若者や女性にも!普段使いに使えるマデイラを!!品質はそのままに、熟成期間を短くした新しいカテゴリーが定着!! 軽やかなマデイラは食中にも使える!!
ヴィニョス バーベイト セルシアル10年【辛口】 参考価格6000円
5年間樽熟成し最良のワインを選び、さらに5年熟成した10年熟成。
マデイラ島で収穫されるブドウの80%がティンタ・ネグラ種(黒葡萄)ですが、バーベイトは収穫量の少ない4種の高貴品種(白葡萄)だけを使い、10年熟成のヴァラエタル・マデイラワインを造っています。
マデイラ 10年 ドライ NV ペレイラ ドリヴェイラ 750ml【辛口】参考価格6600円
伝統的スタイルを頑なに守り続ける小規模生産者。ドリヴェイラ社は、セルシアル、ヴェルデーリョ、ティンタ・ネグラを栽培する自社葡萄畑を所有する一方、島内約40軒の栽培農家から葡萄を購入してワインを造る。
マディラ・リーコックス レインウォーター・ミディアム・ドライ【やや甘口】参考価格2400円
18世紀半ばに英国人ジョン・リーコックにより設立されたリーコックス社のマディラワイン。しっかりした果実とアーモンド風の味わいが、調和の取れたエレガントなマデイラワインです。
マデイラ・マルムジー 5年【甘口】4000円
200年以上の歴史を持つ、マデイラワインのリーディングカンパニー。クリーミーな質感と濃縮感のあるリッチな味わいが特徴の甘口タイプ。1811年に設立され、現在でも高い評価を獲得している家族経営のマデイラワインメーカーです。マデイラの4つの高貴白品種の中では最も甘口となるマルムジーの5年熟成もの。リッチな甘さが広がる濃厚な味わいですが、しっかりとした酸やミネラル感が心地良い調和を生み出します。
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